
札幌市手稲区新発寒に、ボルドー調の外壁が目を引く、倉庫のような建物がある。札幌のワイナリー「さっぽろワイン株式会社」である。
観光のために作られた施設ではない。札幌で醸し、札幌で売る、その仕事場の表玄関である。

芸人の錦鯉が番組で訪れた証跡もあった。
案内に沿って扉を開けると、ひしめくように陳列されたボトルと、冊子やパンフレット類が視界に広がる。
観光地のワイナリーで見るような順路や施設の案内はない。製造販売の施設に、説明用の資料が少しだけ置かれている、そんな佇まいだ。
商品ラインナップは白を中心に、辛口から甘口まで揃っていた。値札は 2,000〜3,000 円台が中心。生産しているワインは、札幌〜石狩にある自社畑のぶどうを、札幌の自社設備で醸しているという。
文字どおりの「さっぽろワイン」だ。
北海道ワイン、ではなく「さっぽろワイン」という響きがいい。
札幌市民として、思わず足が止まった。
2,000〜3,000 円台というのは、ワインとして高くはないが、庶民の財布には決して安くはない。
しかし店内を見て回っていると「よろしければどうぞ」と、次々と試飲をすすめてくれた。気前のよさに、思わず頭を下げる回数が増えた。
ついご馳走になり、軽くグラス 1〜2 杯分はいただいてしまっただろうか。
フレッシュな味わいの銘柄が多いことに気がついた。
聞くと、創業は 2020 年だと言う。ワイナリー直営ショップでありながら若いワインが多いのも得心が行った。
札幌で作られているからこそ、毎年の味の違いを身近に追える。熟成を経たラベルにも、年ごとに表情が変わるだろう。次の年の棚がどうなっているか、もう気になりはじめている。

左:ラブルスカ モワルー
連れ帰ったのは 2 本。
ピンク地にたぬきの絵があしらわれた、ポートランド・スパークリング 2023(2,300 円)と、ハーフボトルのラブ・ルスカ モワルー 2023(1,800 円)。
たぬきラベルの一本は、ふんわりとした甘い香りと柑橘のような風味が相まった、酸味と苦味のバランスが良いスパークリング。直近のイベント販売時には早々に売り切れたそう。
ハーフボトルのほうは、花のような香りと、まるでシャインマスカットのような甘口のテイスト。甘めであるので、飲みきりやすいように敢えてハーフボトルにしているそうだ。
どうやらこの日はワイン運が良かったらしい。見つけられているうちに、このたぬき達は連れて帰ることにした。
近所で買えたら嬉しいのですがと尋ねると、店の方は控えめにこう話してくれた。
身近なスーパーで買いたいという声もあるけれど、価格帯的にスーパーには卸しにくい。だから、興味を持ってもらえると嬉しい
本気でワインを作っている方に、なんと失礼な質問をしてしまったのだと、内心恥じた。
低価格帯が主なスーパーとは、はじめから違う場所に立っているということだ。
ものを買うという行為は、まるで投票のようだ。
スーパーのワインもいい。だが今回は、このワイナリーの仕事に対する小さな投票として、ここで選んで買いたいと、ボトルを抱えて思った。
なお、記事公開時点での直近イベント販売は、5 月 20 日からのライラックまつりで行うそうだ。その後、9 月から 11 月の収穫と新酒の時期には、ワイナリーは相当に忙しくなるという。間の 7 月から 8 月には、石狩市八幡にある自社畑併設のショップで、一面のぶどうを眺めることもできるそうだ。
会いに行くなら、たぬきのラベルは早めに、と申し添えておく。
札幌市民でありながら、札幌のワインを知らなかった。そんな自分を恥じつつも、新鮮な驚きが、胸の奥で小さく音を立てる。
今日「投票」したボトルが、普段買うワインより少しだけ愛しく感じながら、足取り軽く帰路についた。
(関連リンク)
・さっぽろワイン株式会社
・さっぽろライラックまつり
| 店名 | さっぽろワイン㈱ |
|---|---|
| Webサイト | http://sapporo-wine.com/ |
| 住所 | 〒006-0805 北海道札幌市手稲区新発寒5条1丁目6-1 |
| 電話 | 011-681-0213 |
| 営業時間 | 月曜日: 定休日 火曜日: 定休日 水曜日: 定休日 木曜日: 11時00分~17時00分 金曜日: 11時00分~17時00分 土曜日: 11時00分~17時00分 日曜日: 11時00分~17時00分 |
| 定休日 | 月曜・火曜・水曜 |
| 駐車場 | 無料駐車場・無料路上駐車 |
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