「野菜を使った評判のパン屋」との口コミを目にして、東苗穂に向かった。
扉を開けると、パンの陳列スペースよりも遥かに大きく取られた、カフェのような空間。
ぬいぐるみの置かれたキッズスペース、手芸の道具が並ぶ交流コーナー、そして色とりどりの駄菓子の棚。
パンを売る一角はむしろ控えめで、品数もそこまで多くはない。
床の使い方はゆったりとして、人の声がやわらかく響く。
ここは「つぐの間」という地域の人が自由に過ごせる場所で、その営業日に「ぱんや みのり」の焼きたてパンが並ぶ——そういう成り立ちなのだと、あとで知った。

野菜を使ったパン、と聞くと「野菜がゴロゴロと入っている」イメージをするかもしれないが、この店のパンの野菜は、生地に練り込まれている。
じゃがいも生地、ながいも生地、かぼちゃ生地の3種があった。
棚に残っていたパンを、いくつか選んだ。
じゃがいもの生地でつくった塩パンが2種類。ひとつは生地そのものの塩パン、もうひとつは塩昆布を混ぜたもの。長芋の生地の食パン。そして、かぼちゃの生地の無水カレーパン。これは「西神カレー」とのコラボ商品。食後用にと、保冷庫から「さくらシフォン」もひとつつまんだ。
看板商品をたずねると、ながいも生地の食パンをすすめてくれた。
「これを食べると、ほかのパンが食べられなくなる」と、店主の女性がにこやかに答えてくれた。
塩昆布の塩パンも個人的なお気に入りなのだとか。

家に持ち帰って、ひとつずつ袋を開けた。
じゃがいもの塩パンは、噛むとさくりと崩れる感覚があるのに、不思議とふんわりしており食感が際立つ。
長芋の食パンは、しっとりとやわらかく、気づけば食パンそのままの状態で全て食べ終わっていた。
かぼちゃのカレーパンは、揚げ油の「重さ」がなかった。生地や製法のおかげなのだろうか。ほんのり香るかぼちゃ生地に、奥の無水カレーが重なってくる。
カレーのぶんだけ満足感も高いが、1個およそ170kcalだという。「重さ」が無い味にも納得だ。

ひととおり食べ終えて、この店の輪郭が見えてきた。
「ぱんやみのり」が目指すのはきっと、お母さんが子どもと一緒に食べられる、体に負担の少ないパンなのだ。
野菜を生地に練り込むのは、その考えのあらわれなのだろう。
ここはパンを売る店であると同時に、それ以上に「地域の居場所」であろうとしている。
駄菓子の棚が充実しているのは、下校時刻に子どもたちの居場所であるためだろう。
パンの品数が控えめなのも、たぶんこの場所の優先順位を映している。
子どもを連れて、肩の力を抜いて過ごせる場所を探している人。あるいは、野菜を「食べさせる」のではなく、香りごと食卓にのせたいと思っている人に、この場所は静かに開かれている。
また、野菜生地のパンを目当てに、この場所に来るだろう。今度は下校時刻の、子どもたちの声がする時間に。

| 店名 | つぐの間 |
|---|---|
| Webサイト | https://craftlinc.com/%E3%81%A4%E3%81%90%E3%81%AE%E9%96%93/ |
| 住所 | 〒007-0808 北海道札幌市東区東苗穂8条3丁目3-24 |
| 電話 | 080-6035-9069 |
| 営業時間 | 月曜日: 定休日 火曜日: 11時00分~17時00分 水曜日: 11時00分~17時00分 木曜日: 11時00分~17時00分 金曜日: 11時00分~17時00分 土曜日: 11時00分~17時00分 日曜日: 定休日 |
| 定休日 | 日曜・月曜 |
| 駐車場 | 無料駐車場 |
| 支払い方法 | クレジットカード(その他は店舗で要確認) |
(関連リンク)
・つぐの間・ぱんやみのり(株式会社 LinC 公式サイト)


