野幌駅から北西に3キロほど、ログハウスのモデルハウスを目印にしてその店は立っている。
「御料理屋&茶房 BENZIEE」。
看板の下に、白い布が立っていた。三行に分かれた文字。

天ぷらと、お茶漬けと、おばんざい。
短い宣言。読点と句点で呼吸を整えながら、それは店の所信表明のように見えた。
一九八一年、江別でいちばん古い蕎麦屋として始まった店だという。だしとかえしのこだわりが、四十年以上をかけてこの店の評判を作ってきた。それを父から受け継ぎ、創作割烹のかたちへ言い換えたのが、今のすがたらしい。蕎麦屋のDNAはいまも静かに残っていて、白米は鉄釜で炊かれている。
メニューの主軸は「だし茶漬けの膳」のシリーズで、焼鮭、炙りたらこ、野沢菜、南高梅と青しそ、しらすと明太子、地鶏のクリーム、ハーブ豚の角煮——だしという一語の上に、これだけの方向の料理が組み上がっている。
ただ、今日頼んだのは、その主軸からは少し外れた一品。
数量限定の、上天丼。

椀のなかには、なんと海老が四本潜っている。歯にあたるとプリッと弾く、しっかりした身。続けて口に運んだとうもろこしも、まったく同じ表現を選びたくなる。プリッと弾けて、甘さがあとから追いついてくる。
茄子は大ぶり。皮の艶を保ったまま、中は水気を抱えている。ほっくりと、それでいて瑞々しい。ピーマンもまた大きい。ひと口で噛み切れない肉厚を、シャキッとホックリ。すべての食材の鮮度が伝わってくる。
鍋の前に立つ人の手の動きまで想像してしまうような、静かで丁寧な仕事を感じられた。
赤味噌のお椀が一緒に運ばれてきた。豆腐、長ねぎ、舞茸。酸味のたつ赤味噌は、油を含んだ口をいったん閉じてくれる。そして次の一口に向かう道を、やわらかく整え直してくれる。

最後に、きゅうりのお新香がひと切れ。脇役の顔をして、さっぱりと心地良い余韻を残していった。
天ぷらと、お茶漬けと、おばんざい。
店先の三行は、看板であり、メニューであり、おそらくはこの店の輪郭でもある。今日は天ぷらの方角から訪ねたけれど、別の日には、お茶漬けの方からまた、訪ねていくのだろうと思った。
| 店名 | BENZIEE |
|---|---|
| Webサイト | https://benziee.com/ |
| 住所 | 〒069-0806 北海道江別市新栄台2-29 |
| 電話 | 080-7500-5657 |
| 営業時間 | 月曜日: 11時00分~17時00分 火曜日: 11時00分~17時00分 水曜日: 11時00分~17時00分 木曜日: 11時00分~21時00分 金曜日: 11時00分~21時00分 土曜日: 11時00分~21時00分 日曜日: 11時00分~17時00分 |
| 駐車場 | 無料駐車場 |
| 予約 | 可 |
| 支払い方法 | デビットカード(その他は店舗で要確認) |


